2011年11月27日

ギターと木の話E

icon_135.gifギターと木の話E 〜ギターを選ぶときに・・・ネックとフレット その2〜

前回に引き続き、ネックとフレットについてです。ネック指板とフレットはギターの音程を決める大事な部分ですが、木に金属棒を打ち込んで作るため指板からフレットが浮き上がってくることがあります。

こんな状態です。
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指板とフレットの間に隙間が開いて、端の方が浮き上がっています。

こうなると、浮き上がったフレットに弦が当たって意図しない音が出てしまったり、音がビリついたりしてきます。

元々フレットは、フレットワイヤという巻き状から切って打ち込むため、フレット溝の彫り方が広すぎた場合などには巻いてあった湾曲部が浮き上がりやすくなります。新品の場合はほぼ心配ありませんが、中古のギターを購入のときには注意が必要です。

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フレットワイヤ

フレット浮きの大きな原因として時間経過にともなう木痩せがあります。木が痩せることで指板のフレット溝が広がり、フレットが浮き出してしまいます。またネックの逆反りが原因の場合もあります。軽度のものなら接着剤を注入してから押し込むことで直りますが、ひどい場合はフレットを抜いて打ち込み直しになります。

木痩せは木の経年変化で全体的に収縮してしまうことなので、それ自体はある程度避けられないものですが、ローズウッド、メープル、黒檀などの堅い木がネック指板に使われるのは、こういった木痩せを出来るだけ防ぐということにもなります。

シーズニングとは切ったばかりで水分を含んだ木を乾燥させることです。水分を多く含んだ木が自然に変形するのを繰り返し、ほぼ狂わなくなったところで終了させるわけですが、製品になった後の狂いが最小であるためには、ゆっくりとシーズニングされた木が良いことは言うまでもありません。

楽器になるような材木の場合、丸太のまま数年〜数十年、板材にして数年のシーズニングを経て、最終的に機械で乾燥させる場合もあります。

ギターを購入するときに木材のシーズニングまで確認するのは難しいですが、とくにフレット浮きは保管状況にもよるものです。急激な温湿度変化を避け、ネック指板の木痩せを最小にするように注意を払うことが必要です。また一般に言えることとして、保管時に水分が多いと変形につながり、乾燥しすぎだと割れにつながります。


今回で「ギターと木の話」は一段落ですが、"連載・ギター小噺"(今お読みになっている)の次回から、メルマガ配信に移行して更に突っ込んだお話を掲載していく予定です。どんなメンテナンスが良いの?どんなギターを選んだら良いんだろう?などなどお役立ち情報etcも掲載していきます。どうぞお楽しみに! 

posted by A.C. at 22:40| Comment(0) | 日記

2011年11月23日

ギターと木の話D

icon_135.gifギターと木の話D 〜ギターを選ぶときに・・・ネックとフレット その1〜

一口に弾きやすいギターといっても色々あるかと思います。ネックの太さや弦高が話題となることも多いですね。ここではどんなギターにも言えることとして、仕上がりの良い弾きやすいネック指板の話をしたいと思います。

左手で握る長い部分をネック、ネック上面の指で弦を押さえる部分を指板というわけですが、ご存知のように指板にはフレット(音程を決めるための金属棒)が打ち込まれています。このフレット処理の良し悪しがギターの弾きやすさを左右します。

フレットはフレットワイヤといって、最初は巻き状になっています。

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指板のフレットとフレットワイヤ(部分)

これを切って指板上に彫った溝に打ち込むわけですが、手作業を想像していただければと思いますが、まずネックの幅に切って、最後は端部を面取りしていくという工程になります。この端部の面取りが、多すぎても少なすぎても弾きづらくなってしまいます。

実際にギターを選ぶときは、ネックを握ったときに手をスライドさせてみてください。指板端部からフレットが突出して指に引っかからないかどうか?引っかかるようだと、面取りが不十分なことが考えられます。

お店に長いこと置かれていたようなギターでネックが木痩せしていても、フレットが引っかかる場合があります。木痩せとは経年変化によって木が全体的に収縮することで、これによってフレットが突出してしまうためです。木痩せについては次回にもう少し説明したいと思います。

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フレット端部処理のよくないギターを不織布で拭いた様子

それから1弦と6弦を力を入れて押さえたときに、弦がフレットから落ちてしまうようなこと(弦落ち)はないでしょうか?もし弦落ちするようだと今度はフレットが面取りされすぎた場合で、このフレット端部の処理具合がしっくりくるかどうかを良くチェックするとよいと思います。

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1弦の弦落ち

ところでギターのネックにはオーバーバインディング(バインディング)があるものと、ないものがありますが、バインディングには装飾の意味もあるため必ずしも施されているわけではなく、どちらが良いとかいう類のものではありません。ただ、バインディングがあることによってネック指板部の木痩せの影響を緩和し、ネックからフレットが突出するのを防げるというメリットもあります。

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プラスティックでバインディングされたネック

ネックとフレットの話、次回に続きます。

posted by A.C. at 18:13| Comment(0) | 日記

ギターと木の話C

icon_135.gifギターと木の話C〜ギターを選ぶときに・・・ボディとブリッジ〜

「木は切った後も生きている」という言葉どおり、時間経過や環境によって変化していくのが木材です。ギターも木製品ですので、木の特性を知っておくと仕上がりの良いギターかどうかを見分けるヒントになるかと思います。

エレキギターを除くほとんどのギター(ウクレレも含む)は、ボディトップ材の上にブリッジが接着されているという構造を持っています。トップ材は鳴りが良いと言うことで柔らかい木を用いていることが多く、一方ブリッジは堅い木で出来ています。

堅い木と柔らかい木・・・温度変化や湿度変化にさらされながらそれぞれが伸縮を繰り返すと、互いの収縮率の差から接着面に歪みが生じて、ブリッジが剥がれてしまうという悲しい結果になることがあります。

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お店でギターをご覧になるときに、ブリッジの端部を良く見てみましょう。たまにですが僅かでも浮いている場合があるので、そのような楽器は避けたほうが無難です。

またボディトップのブリッジ周辺部を観察してみて下さい。トップ材がポコッと膨らんで来ているようなことはないでしょうか?もしそうなら弦のテンションが掛かりっぱなしだった可能性があり、ブリッジにも負荷が掛かっています。ですからトップの平坦がよく出ているかどうかも、チェックポイントの1つです。

ブリッジ剥がれの原因は環境による劣化が大きいので、ギターを選ぶときのみならず、購入後も保管場所には注意をする必要があります。極端な温度差を避け、部屋を過湿にしないことが、ギターに負担を掛けずブリッジ剥がれを予防する上でも大切なことです。

もともと製作過程でトップの平面が十分でなく圧着がうまくいっていないケースもあります。また、高価なギターなどではメンテナンス性を重視してアニマルグルー(膠など)が使われることがありますが、このような接着剤は修理のときに綺麗に剥がせる利点がある反面、管理が悪いと剥がれやすさが裏目に出てしまうことも。ただこうした製作過程での問題は店頭ではなかなか確認できません。

ブリッジは接着剤で接着されているため、そもそも剥がれる可能性があること。保管時は必ず弦を緩め、過湿度や温度変化に注意して保管すること(ネック反りの防止にもなります)。こういったことを購入後も念頭においておけば、ブリッジ剥がれに泣かされることは防げるかと思います。

次回も続きで、弾きやすいギターを選ぶヒントなどなど。お楽しみに!

posted by A.C. at 18:05| Comment(0) | 日記